オレには恋人が居る。
けど、いつからだったか、
あいつの目にオレが映ることはなくなった。
「、帰りにどこか寄っていく?」
「んー…そだなー」
俺とあいつが付き始めて、もう2年目になる。
そして、あいつが俺の存在を無視し始めて、もう2か月経とうとしている。
中2の6月。じめじめとした梅雨の季節。
此処2か月、俺は亘と帰るようになっていた。
あいつがいない俺の隣に気を使っているのか、亘は何かと気にして声をかけてくれる。
俺とあいつの関係を知っているのは亘くらいだし、前からちょくちょく相談にも乗ってもらっていたから、申し訳ない気持ちはあるものの救われている。
最初は、亘じゃ埋められない穴に何度も泣きそうになったけど、最近はもう慣れてきた。いや、麻痺してきただけなのかもしれない。
「美鶴くん!ごめんね、待たせちゃって。さ、帰ろう?」
「…ああ」
俺の恋人の芦川美鶴は、女の子と帰る日が多かった。
「さ、亘。行こう」
胸が痛いよ。
俺なんかもういらなくなったの?
彼女の方が好きになっちゃったの?
俺はお前にとって何なの?
聞きたいことはたくさんあるけど、口に出せない俺は、
また見て見ぬふりをして、今日を終えることにした。
08/10/27