「ねぇ、」
「んー?何?ぉわ!ちょちょちょ、待って!」
放課後、亘が俺の家に遊びにきた。
理由は簡単、昨日発売されたゲームをやりに、だ。
と言っても、亘は戦闘中に死んでしまったので、今は味方の回復待ちだ。
そして俺は今、窮地。
「ちょ!あ!アニス死んでしまぁああああ!」
「死んじゃったね」
「わーたーるー!お前、」
「はいはい、ごめんごめん」
亘は心にもないくせにそう言って、自身のコントローラーを握った。
亘のルークは俺と入れ違いに復活した。
「許すまじ…亘め…」
今度は俺が味方の回復魔法待ちの番だ。
ベッドの上に寝転んで画面をじっと眺めた。
「あ、そういえばさっき何言おうとしたんだ?」
俺のアニスが死んだんだ、くだらないことだったら、頭はたいてやる。
ゲームをする亘の横顔を覗くと、眼は画面にくぎ付けだ。
「別れないのかなって思って」
ん?
「誰と?」
「美鶴」
別れる
別れる
「別れる?何で?」
「なんでってそりゃぁ…」
今の状況って恋人なの?
「あー…」
ベッドの上に仰向けになって、天井を見た。
なるほど、それは頭にはなかった。
08/11/10