「何処からあんた熱なんて貰ってきたのよ」

「ずいまぜぇん…ゲホッ」



俺はあの電話の後、発熱して、風邪まで発展させてしまった。

貯め込んでいたものが吹き出してしまったのだろう。


母親に「馬鹿ねぇ」と呆れられながら、本日学校は欠席することとなった。


かぶっていた布団を顔半分埋めるまで持ち上げた。

「なっさけな…」

なさけなくて、泣けるよ。
別れを告げた、俺が、寝込むって……

思ったより俺は乙女だったみたいだ。今話題のオトメンだな。
いや、流石にそこまではいかないけど。


ぼーっとする頭で俺は美鶴のことがぐるぐる頭を回っていた。

はやく、忘れたいのに。こんなに美鶴が根付いちゃって。


「ぁー…もう今なら死ねるかも…」




「ぇ、死ぬの?」


「ぇ、死ぬわけねぇー……って、亘?」


俺は声のした扉の方を向くと、そこには見慣れた亘の姿。

「何してんの?」

「お見舞いにきまってるじゃん」


「それは…どうも?」

「入るよー」

亘は慣れた様子でズカズカと入り込んできて、俺のベッドの横に座った。

「熱?咳は?」

「出てる…ゲホッ」

「馬鹿だねー」

「かあさんにも言われた。学校は?」

早退してきた、あっさりとそう言い放つ亘がまぶしいよ…

どうやら、俺は万年元気な大バカやろうだと思っていたらしい…馬鹿は風邪ひかないっていうあの噂にのっとってね。


「ねーー」


「ん?」



「どうした?」



俺の目を見てゆっくりと聞いてきた亘に凄く胸が熱くなって、


俺は堪えていたものをついあふれ出してしまった。



08/12/03