「……言ったんだ…」
「なんて?」
オレは亘に泣きついた。
突然泣き出したオレに狼狽することなく優しく亘は傍にいてくれる。
おれまじ…
「親友でよかった…」
「は?美鶴に親友で良かったって言ったの?」
「ちがう…亘が親友でよかったって言ったんだ…」
「あいかわず、日本語変だね」
「うるひゃい…グスッ」
「それで、何ていったの?」
俺は、あの時電話で、
「別れようって、バイバイって…いった…」
最後の方は声が小さくなってしまった。
まだ自分の中でもカタがついてないから、言葉にして本当になってしまうのが怖いんだ。
「…」
「亘…おれ、よかったのかな」
「ん?」
「これで良かったのかな、おれたち確かに男同士で普通じゃなくて、でも、おれは変わらずに好きなのに…」
でも、美鶴はもうおれが好きみたいじゃないし、
でも、おれは美鶴がかわらずに好きなんだよ
美鶴がいないと、おれだめなのかもしれないって思うんだよ
美鶴の隣から女の子の声がして、俺の場所だったのに
すごく辛くて、その一瞬から逃れたくて言ったのに
美鶴との縁が切れたことの方がもっと辛いんだ
もうおれが美鶴の何でもないことが
その事実が
おれを
責めるんだ
「……はまだ、美鶴が好きなの?」
「……好き、だよ。おれはずっと、たぶんこれからも、美鶴が好きなんだ」
そういうと俺の胸にすとんとその言葉は落ちてきて、そして、すごく痛かった。
布団をきつく握りしめる。
握りすぎた手が痛いけど、
胸はもっと痛い
俺の頭をそっと亘が撫でてくれた
それがおれを労わるものだとわかって、顔を上げる
「だってさ、美鶴」
え?
亘の言葉に目を丸くして静止した。
亘の視線の先を追って、俺もそちらを向く
開いた扉
立ってる、美鶴
「……」
「ぇええええええええ!?」
びっくりして、涙も止まりました。
08/12/03