「ね、美鶴」

「何?」



が無言で指を差した先には一軒の甘味処。

服の端をギュッともたれて、ミツルは諦めたように息を吐いた。









「やったね。逢いたかったよ、かき氷」

「…それは良かった」



店員に運ばれてきた宇治金時をみてはしゃぐ

美鶴は頼んだ抹茶アイスに手を付けながらその光景を半ば呆れ半ば微笑ましく見ていた。

シャリシャリという音を立てて氷の山を崩してゆく。

一口すくって口に運べば冷たさに身がすくむ。



「んっまーい」



一々感激しているに美鶴は無視を決めつけて黙々と目下のアイスを征服してゆく。



「ね、ね、ミツル」

「何?」

「それ美味しい?」



かき氷に夢中だったはずのが美鶴の手元のアイスに目移りしている。



「食べてみる?」

「良いの?」



嬉しそうな顔をして抹茶アイスを一口すくい口に入れた。

どうやらお気に召したらしく至極ご満悦な笑顔を浮かべている。



「食べる?」



かき氷を一口、口に運びながらが美鶴に尋ねる。

ピキーンと閃いた幸運に美鶴は口の端をつり上げた。



「じゃぁ、一口」



そういうと美鶴は辺りを見回し誰も見ていないのを確認して、の唇に己のソレを重ねた。



「ちょ……ふ…」



薄く開いていた口に舌を差し入れ、僅かに残っていた氷をかすめ取り口を離した。



「な、何を…」



顔を真っ赤にして口を押さえるに可愛いなぁ、とか思いながら美鶴は不適に笑った。



「続きは帰ってからね」

「ヒィっ」



その後顔を真っ青にして黙々とかき氷を食べると満面の笑みを浮かべた美鶴が居たそうな。