「え、」
「や、。只今」
「おかえり…じゃなくてじゃなくてじゃなくて!えええええええ!?」
秋が居なくなって7年。
ついでに座木さんも居ない、ということをリベザルに話されたあの日から7年。
つまり簡単に言うとその7年前のあの日、俺は蚊帳の外だったのだ。
事件なんて面倒で首を突っ込まなかったのがいけないのか、置いてけぼりを食らったのだ。
その時俺の顔は盛大に引きつっていただろう。
リベと一緒に居ても良かったのだが、俺はリベを残してまた宛のない旅に出ることにした。
リベにはユノとか居るし、元々、俺は各地を浮浪してて、偶々、秋に捕まって共に行動していただけなので、秋が切れた凧のように消えた今、待つ必要など何処にもない。
もちろん、追う必要も。
俺たちは所詮群れはしないイキモノなのだから。
という格好いいことを言うと嘘になってしまうから止めておこう。
実は俺にとって秋が側にいないということは死活問題なのだ。
詰まるところ、俺の命に関わることで、あの家の守りも強いけれど、秋が居なくなった今長く持ちこたえてくれるかは謎だ。
俺についての詳しい話の明記はまた後日にさせてもらうが、俺はリベの話を聞いて直ぐにゼロの元へ行った。
秋ほどじゃないけどゼロも安全圏内だ。
リベには詳しく言っていないが、ゼロのところに身を寄せる旨だけ話した。
もちろん話したとき悲壮な顔をされて心がぐらついたけど、俺の命に関わることだと話したら渋々行かせてくれた。
ゼロは最初こそ嫌そうな顔をしたが、秋みたいに嫌われていないので普通に一緒に暮らしてくれた。
ゼロが祖国に帰るため一生懸命働いてるのを横で見てるだけなのは凄く心苦しかったから、とりあえず内職の仕事を手伝うことにして置いた。
時々ゼロがカイのところに行くのに付いて行って、時々リベとも顔を合わせた。
秋が居ない俺の行動範囲はめちゃめちゃ狭かった。
ていうか秋それ知ってて俺を置いていったとか最悪じゃない?
だから俺の顔があの時引きつったのだ。
哀しいとか辛いとか、悪いけどそんな気持ちじゃない。
あいつ、やりやがったな!が正しい解釈の仕方。
自分の呪い云々もアレだけど、俺のことちょっと無責任すぎるんじゃないのー!みたいな。
そんなことを考えもしなくなった7年目。
ひょっこり、本当にひょっこり帰ってきたのだ、あいつは。
「ごめん、忘れて行っちゃった」
「………秋、俺のこと本棚の上のこけしだと思ってるでしょ」
「ごめんって。これからはちゃんと気を付けるから」
「うん、そうして。ゼロが神経擦り減らしすぎで現在進行形で過労気味で可哀想だから」
「ゼロイチはいつだって忙しそうだよ。それより、。君こそ離れないでよ。君は直ぐ居なくなる」
「え?俺のせい?違くない?アレ?俺が可笑しい?」
「いつまでそうやってるつもり、行くよ、」
「ええ!?話の展開が早くて付いていけない!?」
なにはともあれ、俺たちの道筋はまた繋がった。