「さん!」
あれから小一時間ほど静雄と話し別れてから、はファミレスで時間をつぶし、時刻は午前7時。
そろそろ、家に帰ろうかとファミレスを出て目覚めた渋谷の街を歩いているときだった。
「あれ、正臣くんじゃないかい」
「お久しぶりっすね」
「お久しぶりですねー、後ろの彼はお友達かな?」
人をぬって現れた人物は紀田正臣。
その後ろに見慣れぬ少年を見つけて友達かな、と思った。
正臣に返事を返すと彼は相変わらず元気そうだった。
「あ、こいつ竜ヶ峰帝人って言うんですよ。俺の幼なじみ」
「初めまして。です。エアコンみたいな名前だね」
挨拶をして率直な意見を述べると正臣を帝人は顔を見合わせた。
何か変なことを言っただろうか。
「俺、何か言った?」
「エアコンみたいって…折原臨也さんも言ってたから…。あ、臨也さんっていうのは…」
「うげっ。またアイツとおそろいかよ」
帝人が丁寧に臨也について説明しようとするとソレを割ってが嫌そうな声を出した。
「臨也さん、知ってるんですか?」
「渋谷に住んでるなら当然だろ」
帝人の疑問に正臣が突っ込む。
は漫才のような二人に苦笑いをした。
「知ってるなにも、腐れ縁っていうか…ついさっき逢ったばっかりだし」
そう言うと驚いた顔をされた。
臨也の評判は相当悪いらしい。
「知らなかった」
「言ったこと無かったからね」
「渋谷に来ているんですか?臨也さん」
「いや、来てないよ。俺が呼び出されていったの。朝1時に電話でたたき起こされて泣く泣くね」
正臣の知らなかった発言を一刀両断して、凹んでいる正臣を無視して帝人と話す。
朝1時に!?と驚く帝人に苦笑して「俺、可哀想でしょ」というと何度も頷かれた。
「そういえば『また』ってどういう意味っすか?」
立ち直った正臣が先の話を蒸し返す。
「さっきシズちゃんにも『シズちゃん』って渾名が一緒の呼び方してること指摘されてさー」
「シズちゃん?」
「平和島静雄」
また驚いた顔をされた。
(俺が、シズちゃんや臨也と知り合いなのは意外なのか…?)
「そういえば君たち学校は良いのかな?」
は腕時計を二人に見えるように袖をずらす。
「げっ」
「急ごう、正臣」
「分かってる!そんじゃ、さん」
「失礼します」
バタバタと慌てて走っていく二人を手をヒラヒラさせて見送り、は家路を急いだ。
時刻は8時。