初めて会ったのは1年前、教団の任務でだった。

俺のイノセンスは寄生型、声帯に根を張り俺の声を媒体とする。

便利そうだね、とよく言われるけれど、そうでも無い。

なぜなら俺とイノセンスのシンクロ率は40%しかないから。

だから俺はイノセンスを全然使いこなせていない。

任務なんて無論無理。

だけれど何もしないわけにはいかないので、ファインダーでは難しいけれどエクソシストに任すほどの任務でもない時に俺は良く使われた。

別にそれに対して不満があるわけではない。

簡単な事をこなしているだけで衣食住が保証されるんだから。

そんな良くわからん立場にいるせいでファインダーにもエクソシストにも馴染めなかった。

俺はいつも独りだった。





そんな事を繰り返す単調な生活をしていたある日、任務先で俺はAKUMAに遭遇した。

運悪くレベル2。

俺にとってはレベル1でも大変なのにレベル2なんて到底無理。

レベル2に吹き飛ばされ止めをさされ、俺は死ぬはずだった。



なのに

「っとぉ。・・・大丈夫?」



太陽が落ちてきたのかと思った。



壁に凭れ掛かる俺と、俺に向かって止めをさそうとしていたAKUMAとの間にオレンジ色の髪をした青年が降ってきた。

右目に眼帯をした派手な青年。

着ている服と持っている変なトンカチみたいなもの(あとから槌だと正された)から青年がエクソシストだという事にすぐ気がついた。

ああ、助けがきたのだと実感した。

俺は生半可なこの周囲との関係にしていて寂しすぎて、いっそ殺されたら楽かな、と思っていた。

でも、青年を見た瞬間俺は急に死ぬ事が怖くなった。



命を絶つ。



俺は何て事を考えていたのだろう。

体がカタカタとようやく震えた。

あっという間にレベル2のAKUMAを倒した青年は俺に近づいてきて俺の頭をポンと優しく叩いた。

「良く頑張ったさ」

体のふるえが止まる。

緊張が解けて、泣きそうになったのを堪えた。

見上げた先にあったのは陽だまりのような青年の笑顔だった。



「オレはラビ。ブックマンの後継者さ」

「・・・。俺は



「よろしく



青年は俺にとって太陽で陽だまりで暖かい人だった。

俺は青年に恋をした。