バタンと音を立てて自分の部屋の扉を閉めた。

ベッドにそのままダイブしてシーツに包まり俺は声を殺して泣いた。

好きな人に好きだと言われてふらなくてはいけない日がくるとは思ってもいなかった。



悲しい。違う

辛い。違う

苦しい。違う



痛い



ただただ痛い



俺はずいぶん前にブックマンから非難を受けた。

『ラビに焦がれておるな』

『ぇ・・・?』

『悪いがアレはブックマンの後継者。そういった色恋沙汰に翻弄させるわけにはいかん』

『・・・』

『おぬしだって分かるじゃろ。これ以上あやつに関わらないでもらいたい』



『ましてや、恋人など。ブックマンには無縁だ』



そう、ブックマンを継ぐラビに想いを寄せたりなどしてはいけない。

そんな事わかっていた。

けれど、想わないようにすればするほど、ますます彼を好きになった。

彼を通じて沢山の人と出会ったけれど、想いはますます強くなった。

その想いが自分だけならこんな辛くはならなかったのだろうか。

でも、一瞬でも通じ合った想いが嬉しかった。

でも、こんなに辛くなるなんて。



今すぐ泡になって消えてしまいたかった。





「・・・・・・」

ギシッとベッドが重さに軋む。

ちらりとシーツの間から涙を擦って見てみるとアレンがいた。

可哀想なものをみたような目で俺を見てくる。

ああ、でもそうか。



俺は可哀想なんだ。



俺の気持ちを知って応援してくれていたアレンが心配して見にきてくれたらしい。

可哀想な自分を自覚してまた涙が溢れた。



俺の何がいけなくてこんな目にあっているんだろう。



アレンが俺をシーツの上から抱きしめてくれる。

俺はその行為に甘えた。

アレンの腕の中で声を殺して泣いて。

背中を撫でてくれるアレンの暖かい手にまた泣けてきた。



好きになったのがアレンだったら、こんなに辛くならなかったのかな。