そしてまた例え君が一人になっても
僕は必ず見つけるから
そしていつか僕が一人になったら
君の手を待ってるから
前を向いてクルクル回って
タップダンスみたいに軽快に
君との絆に僕はとまらない
僕との絆に君は踊る
シリウスは珍しく朝早く目が覚めたのでジェームズたちを起こさないようにしながら一人で談話室に下りた。
階段の途中で談話室から声が聞こえてきた。
その声につられるようにギリギリ談話室が見えるところまで下りるとが暖炉の前の椅子に座って歌っていた。
大声でというわけではなく口ずさむ程度の声だが声変わり前のボーイソプラノが耳に心地良い。
聞きなれた言葉ではないので恐らくの母国語、日本語だろうか。
声を掛けずにそのまま階段の手すりに腕をかけて歌に酔いしれる。
が二曲目を歌いだした。
凛々しい横顔に僕は一目で
どうしようもない思いが溢れて
君と話すたびに甘い蜜が零れ落ちる
好きだといったら何て返されるんだろう
困惑した君に僕は全てを笑い飛ばすんだ
そうやって僕は隠しとおしていく
満開の花の周りを彷徨いながら
君という花に縋り付く蜂かな・・・Honey
あ、と思った。
最後の言葉だけ英語だった。「Honey」、ハチミツ?愛しい人?
何に対して捧げる歌なのか気になって、シリウスは歌い終わって椅子に沈み込んでいるのもとへと階段を下りていく。
「今の何ていう歌?」
椅子に座り本を読んでいる、に話し掛けると凄い勢いでが振り向いた。
「聞いてたの?」
「途中からだけどな」
シリウスの言葉には「迂闊だった・・・」と項垂れ本を机に放り出した。
「で、何の歌?」
の横に座り先と同じ質問をする。
は机に頬をくっつけながらシリウスを眺めた。
「Honey」
先ほど聞こえた歌の末尾と同じタイトルだ。
「どんな歌なんだ?」
シリウスはの髪に無数に止まっている赤、青、ピンクのピンを触ってみた。
直ぐに崩れるから止めろとに怒られたが。
「片思いの曲」
「・・・恋してるのか?」
思わず聞いてしまった。
は驚いた顔をしたが直ぐにまじめな顔になった。
「うん」
「実は・・・シリウスに・・・」
その言葉にシリウスは固まった。
沈黙が走った。
「アッハッハッハッハッハー・・・ッハハハハ!」
その顔には絶えられなくなり大笑いをした。
「ッハ、嘘に決まってんじゃん・・・ッハッハッハ!」
体を折り曲げて笑うアキにシリウスの顔が赤くなる。
「人をからかうな!」
怒鳴るシリウスをよそ目には笑いすぎで痛くなったわき腹を抑えながら目に浮かんだ涙を擦った。
「シリウス、サイコー」
真っ赤になって怒るシリウスにはまだ少し笑いながら本を持って立ち上がった。
「それじゃぁ又ね。ダーリン」
語尾にハートマークが付きそうな言い方をしては投げキッスを送りウフフと笑った。
シリウスがまたそれにますます顔を真っ赤にするものだからは再び笑いながら階段を駆け上った。
途中、騒ぎを聞きつけ起きたらしいジェームズとルーピンにすれ違い「どうしたの?」と聞かれたが、アキは肩を震わせジェームズの肩を叩き走り去った。
が笑っていると思ったジェームズはその後顔を真っ赤して怒っているシリウスから事情を聞き出した。
そして、笑った。
本当はは叶わない恋に泣いていたのに。
縋り溺れエゴイズム
どんな歌か気になる人は此処だと思った空間を反転すると管理人の駄作成品登場。