「?何かあったのか?」
「・・・うへ?」
図書室でセブルスと向かい合わせで勉強している時だった。
珍しく休みだというのに帰らなかったセブルスに珍しいと思い、両親と喧嘩でもしたのかな、とかそんな事を考えていて反応が遅れた。
間の抜けた声に対して呆れ顔のセブルスにごめん、と謝った。
「いや、別に気にしてはいないが・・・。それで、何かあったのか?」
「何が?」
「先程から意識が別のほうに飛んでいるようだったからな」
セブルスの言葉に今度はオレがポカンとした。
エスパー?エスパーセブルス?
何てこった。オレが呑気に生活していく中でセブルスの身にはいつの間にかエスパー?
マジでか!羨ましいぞ、セブルス!オレもエスパー欲しいー!!
「・・・言っておくが、今の全部声に出てるぞ・・・」
「っ!?」
セブルスの言葉に慌てて周囲を見回す。
冬休みのおかげで人も少なく、オレの声を聞き取れる範囲に居た人間は居なかったらしい。良かった。
今の聞かれたらオレが電波な人だと思われてしまう。
「因みに、僕はエスパーじゃないからな」
「なら何で分かるのさー」
「いつものなら何も考えずに間違っていても適当に答えを書いていくのに、今日は一問に大分時間がかかっている」
「前半酷っ!」
「事実だ」
「そりゃそうだけどさ・・・考えた所でわかんねぇし・・・」
あまりにも的確に答えられてオレは頬を膨らまして拗ねて見せた。
すぐに気持ち悪い、と一刀両断されたが。
机の上に広がっていたものをどけて、オレは机の上に突っ伏した。
結い上げた髪の毛先が首元にかかって予想以上にこそばゆく、オレは顔を上げた。
窓の外を見れば雪が積もっている。
「セブルスは今年は何で家に帰らなかったのかなー、と」
「・・・帰って欲しかったか?」
「いやいや!すんごく嬉しいんだけどさぁ・・・喧嘩とか?」
机の上に肘を付き顔を乗せる。
窓の外を見たままそう聞くと返事が返ってこない。
何事かと前を見るとセブルスが居ない。
「セブルスってばテレポーテーション!?」
「五月蝿い、戯け」
直ぐに返事が返ってきてそちらを向くとセブルスが本棚から何かを持って出てきた。
持っている本には『世界珍獣動物図鑑』と書かれている。
「家にはこの本が無い」
「ああ・・・」
そういえば、何かの教科で何でも良いから珍しい動物を調べてこいって言われてたな。
そんな事かとオレが呆れると、セブルスは又本棚の間に消えた。
本を返しに行ったのだろうか。
オレは又、外を眺めた。
あ、と思った。
外でシリウス達が雪合戦をしていた。
主にシリウスvsジェームズ&リーマスっぽくはあったけれど。
「?・・・ああ、ポッター達か」
戻ってきたらしいセブルスがオレの視線を辿り、嫌そうな声を出した。
あまりにも嫌そうなのが面白くて、オレは笑うとセブルスに頭を小突かれた。
「それで?それだけじゃないだろ」
セブルスがオレに投げかけてくる質問の意味にオレがセブルスを見て首をかしげる。
「分からないとでも思ったか?三年の付き合いだぞ。他にも何か考えているだろ」
セブルスの言葉にオレは苦笑した。
セブルスはジェームズ達に勝てなくてもこんなにも鋭い。
困ったなと思った。
こればっかりはセブルスにも話せない。
オレは苦笑して窓の外を眺めつづける事にした。
優しいセブルスはそれ以上何も聞かずに、ただ小さく舌打ちをした後、黙々と勉強を始めた。
オレにはこれくらいが丁度良い。
優しさを逆手に
「しみじみ思うけどセブルスって魔法使いみたいだよねぇ」
「…ちょっと待て。お前、此処に何しに来ているんだ?」
「えー?魔法のべんきょ…ああ!そういえば既に魔法使いだった!」
「…はぁ(こいつホントに大丈夫なのか?)」