あれ、おかしいな。

目から水が・・・。



・・・助けてママン









おかしい。

いつもと同じ日常だったハズだ。

いつも通り、啓ちゃん達と楽しく過ごしていた。放課後までは。













は今日もソレ(A・T)で帰んの?」

「オフコース!・・・アダッ!」

啓ちゃんに向かって親指を立ててウインクすると後ろから叩かれた。

「やった、馬鹿者ゲットだぜー」

「英喜死ね!」

俺を叩いておまけに何かをパクったような科白に俺は怒り英喜の胸倉を掴んでガクガク揺さぶった。

「ハッハッハ、俺より背の低い人間に揺さぶられたところで全然効かないなー。くん、余震か何かかな?」

「マジでお前ムカツクー!!」

「ハイハイ、2人とも落ち着いて」

英喜を一層ガクガク揺さぶると頭上からアハハハハと馬鹿にした声が聞こえた。

それを聞いた俺がさらに激しく揺さぶると高笑いがさらに大きくなり俺がさらに揺さぶると、その一連の動作が数回続いたところで静止の声がかかった。

「「チカ(ちゃん)」」

「君達はもう少し大人になりなさい」

チカちゃんに怒られて俺と英喜はシュンと体を小さくしていると俺たちの回りに啓ちゃんと咲羅が集まっていた。

チカちゃんが声を低くする。

「今日、夜、俺のところ」

その言葉に俺らが頷く。

「夜なんですって?」







・・・?



???





「・・・どなたですか?」

一同が声のほうを向くと窓の淵に乗るように一人の男。

チカちゃんが不愉快そうに声を出した。

立っている男が誰だか分からない奴なんて此処には居ないけれど皆、口には出さない。

チームとして動きにくくなるから。

「げ、アイオーンじゃん」

面倒事は俺が引き受けるべきだと分かっている。

リーダーだしね。

俺を隠すようにしていた英喜を押しやってアイオーンに近づく。

啓ちゃん達を探るような事されたら困るから。

ソレを悟ってくれたチカちゃんが「さて、帰ろうかな」といって鞄を持ち上げた。

「俺、今日忙しいから夜チカんと行けねぇーや」と啓ちゃんが先の話題をアイオーンに聞こえるような声で言った。

「えー、遊ぼうって言い出したの啓介じゃないの!」

咲羅がそれに乗る。

「人生ゲームやりたかった!」

英喜がダダをこねるように叫びながら鞄を手に取る。

「ま、仕方ないでしょ。今日は無しって事で。じゃぁね、

、バイバイ」

「バイセコ、ちゃん」

チカちゃん、咲羅、英喜の順に教室から出て行く。

「また、遊ぼうな。

啓ちゃんが出て行くのを手を振って見送った。



「芸能人が一杯ですね」

「あなたもある意味有名人ですよ」



俺が皮肉をこめてそう言いながらA・Tを履く。

「何か御用ですか、アイオーン」

「ご招待をと思いまして」

「ハイ?何に?」

「それじゃ、行きましょうか。暴れないでくださいね」

「は?は?はい?」

帰る用意をして鞄を肩から下げてアイオーンの横の窓から出て行こうとしたら、腰をつかまれて引っ張られ体勢を崩した所を横抱き(所謂お姫様だっこ)にされた。

そして、俺の意見を聞く気も無く窓を蹴って飛んでいく。



「俺の意見は・・・つか変な所さわるな!」

「良い形していますね」

「撫でないで!俺の尻を撫でないで!」





「助けてー!俺の貞操危機だって!!」





虚しく俺の声が響いた。





「あーあ、つれていかれちゃった」

「アイオーンが此処まで来るとはね・・・」

一同は教室に戻ってきていた。

咲羅が影も見えなくなったの名残を追うように窓から外を眺める。

「助けなくて良いのか?」

英喜がチカを振り返る。

「助けると、俺達やButterflyとの間に接点が出来てしまうからね・・・。啓介、追いかけないでね」

窓の外をじっと眺めていた啓介にチカが苦笑した。

「・・・分かってる」

啓介が搾り出したような声を出すと一同が苦笑した。







***



「話で聞いてたよりずっと可愛いじゃない」

「・・・どうもです、美作さん・・・」

「もー、涼で良いって言ったでしょう」

「・・・はぁ」

「お前、毛並みすっげぇ良いな」

「・・・どうもです、五所瓦さん・・・?」

「お茶・・・」

「あ、ありがとうございます、えっと・・・ミツル?」

嬉しそうに笑うミツルを見て何だか目から水が出てきた。

おかしいな出てた日もとっぷり暮れて、今の時間ならお散歩中のはずなのに、ヘビーモスのエリアにつれてこられて四聖獣に遊ばれてるんですけど。

学校に着ていったジーンズに黒いジップパーカーのまま俺はミツルにお茶を差し出され五所瓦に髪を弄られ涼さんに頬を弄られている。

何よりも



「腰にひっつかれて気持ち悪いんですけどー!!」



ウガーッと俺は座っていた場所から立ち上がりアイオーンをA・Tを履いたまま蹴り飛ばす。

悲鳴をあげる間もなく飛んでいったアイオーン。



彼は星になった。



俺が肩で息をしていると、ミツルが座るようにと俺の手を引いて無言で訴えてきた。

それに従って俺は座る。

胡蝶(フーティー)にセクハラする何てサイテーね」

「仲間じゃないんですか・・・?」

「それとこれとは別でしょ!」

涼さんがアイオーン(が去っていった軌道)に対して軽蔑したような目を向けるから突っ込んでみたけれど、逆に怒られてしまった。





「そもそも、胡蝶(フーティー)は私のよね!」





「「「は?」」」





突然の涼さんの宣言に俺達は間の抜けた声をあげた。



胡蝶(フーティー)は俺のもんだよ!」

「違う!胡蝶(フーティー)は僕の!」





あのー、えっと・・・



「俺別に誰のものでも・・・」

「「「黙って!」」」

「うぁい」





俺の抗議はいともあっさり流されてしまい俺は三人の迫力に負けた。

ああだこうだと叫ぶ三人に少し涙が出てきた。

帰ろうと思っても三人に掴まれて動けないし。





「あきらぁ」





その場に居ない四聖獣の頭を怨んだ。

いつの間にか戻ってきたらしいアイオーンも加わって、四人は何やら少しずつ話が変わってきている。・



胡蝶(フーティー)のこの流れるようなしなやかな腰は私のです!」

胡蝶(フーティー)の髪は俺のものだよな」



なんて言い張りながら部位を触ってくる。

男にセクハラされて嬉しいわけが無い!

いや、女の人でも嫌なんだけどね。



「もう、ホントにヤだって・・・!・・・アキラー!この人たちセクハラしてくるよー!!」

「四人とも止めろ」



俺が大声で叫ぶと何処からとも無くアキラが現れて俺を四聖獣もといセクハラ魔達から己の腕の中に助けてくれた。

腕の中に入れることは果たして助けになるのかが疑問だし、そんなに早く出てきたって事は直ぐ側に居たのかよ!という疑問はおいておいて俺はアキラに礼を言った。



「ありがと、アキラ」

「・・・気にするな」



目にたまった涙を拭い俺がアキラを見上げると目をそらされた。

なぬ、俺はアキラに嫌われたのか?



「抜け駆けですか、宇童さん」



ミツルの聞いたこと無いようなドスの入った声に、俺が言われたわけではないのに俺がビビる。



「さて何の事かなミツル?」



四聖獣と宇童アキラの静かなる戦いに俺が意識を思考の中へ飛ばす。



司、心配してるかなー。

それにしてもお腹がすいた。

俺いつになったら開放されるんだろう。

晩御飯何かな。

あー、お好み焼き食べたいな。

この際、肉マンでも許す。

醤油とかつけないで、そのまま食べると美味しいんだよなー。



胡蝶(フーティー)!」

「ぁい?」

胡蝶(フーティー)は誰が好きですか?!」

「・・・ぁい?」



思考の渦に飲まれていた俺に突然五人が詰め寄ってくる。

既にアキラの腕からは開放されて自分で立っているが五人の勢いに押されて逃げるに逃げられない。



胡蝶(フーティー)の中で一番は誰ですか!」



アイオーンに詰め寄られて俺は後ろに下がる。

五人の気迫が怖い。



「ええっと・・・」



口篭もり返答に困る。

俺の中では啓ちゃんが一番なのだが、そういうことを言うとそれはそれで面倒くさいことになりそうだし。



誰か助けて。





「宇童さん!大変です!」



そんな所へジャストタイミング!グッジョブ!

ヘビーモスの下っ端だろうか、そんな感じの男が飛び込んできた。

五人に一斉に振り向かれて驚いているが、そもそも男の慌てぶりは尋常ではない。



「何だ?」

「Butterflyが現れました!」

「何?!」

「数は確認できていませんが、ここらへん一体のチームの様子を窺っているらしく猛スピードで駆け回っています!」



五人が男の報告を受けている隙に俺は地を蹴った。



「あ、胡蝶(フーティー)!」

「俺は噂のButterflyを見に行くからってことで。サヨナラ」



五人に追いかけられる前に手をヒラヒラと振って笑い、俺はヘビーモスのエリアから一気に駆け抜けた。

何か一気に10年分くらい老けた気がした。














ぐふ。長い割にヘビーモスと絡めていない・・・。内容浅っ!

力及ばず申し訳ありません・・・orz リクエストありがとうございました!